「es」
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実際にあった「スタンフォード大学事件」を基に作られたフィクションです。刑務所を舞台として、募集で集めた一般の人々にそれぞれ看守と囚人という役割を与え、その役に嵌り込んでいく過程を記録、観察する実験です。特に看守役の人達が権力と支配欲に溺れていく様は狂気を感じます。実際の実験では殺人などなかったものの、タブーであった暴力を用いた罰則などエスカレートしていき、終いには研究者までもが取り込まれてしまい被験者の家族の訴えによって終止符を打たれたという曰く付の実験に脚色を加えた映画。環境が変わるだけで人の行動、理念までも脆く崩れてしまう結構怖い話です。 |
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「バンクジョブ」 |
こちらも実際に会った事件を基にした映画です。足を洗うためにと、最後の大仕事として金庫破りをしたものの、地元ギャングのゆすりネタ「皇室のスキャンダル」までも手に入れてしまい警察、ギャング、MI-5に追われるはめになる。ストーリーも練られたもので、強奪作戦そのものがMI-5がけし掛けたものだったり人物関係もぎっしりと見応えあります。実際の事件でも貸し金庫破りに遭った被害者のうち100人以上が、被害内容の申請を拒否したそうで捜査が難航したのも事実。どこまでが真実かどうかは抜きに、金庫破りのスリル抜群の映画です。 |
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「インサイドマン」 |
人質全員に犯人と同じ服を着せて警察を混乱させたり、事件の発生中に取調べの証言シーンを入れたり、凝った構成が面白い。ちょっと混乱するかもしれないがラストのカタルシスへ向けての伏線として観るとスッキリするから流石だ。社会派監督といわれるスパイク・リーの作品だがメッセージ性など深読みすることなく、単純に楽しめる映画としてちゃんと完成されていると思います。 |
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「アンノウン」 |
アクシデントで記憶をなくす5人の男たち、誰かが誘拐犯で誰かが人質。警察が来ても誘拐犯の仲間が来ても誰かが終わり、というストーリー。散りばめられた記憶の断片を頼りに協力したり仲違いをしたり、疑心暗鬼の中、建物からの脱出を図る。二転三転を繰り返すラストは一回では分かりにくいかも?二回見て「ああ、なるほど」と思いました。シチェーションドラマとして大いに楽しめます。 |
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「CUBE」
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警官、脱獄王、精神科医、数学生、会社員、精神病者の男女5人が閉じ込められた正方形の小部屋。上下左右と出入り口があるが、六つのうち安全に移動できる部屋は一つだけ。間違えて違う部屋に入れば恐ろしい罠が発動して惨殺されてしまう。誰が何のために作ったのか、どうして自分が閉じ込められたのか、生きて出るにはどうすればいいか、恐ろしい迷宮に閉じ込められた人間がやがて心までも侵されていく様が恐ろしい。 |
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「GAME」 |
成功者となるも孤独な日々を送る男が誕生日に放蕩している弟からとある「ゲーム」の参加権を送られる。戸惑いながらも刺激になるならと、参加をしてみる。そこから彼の日常が壊れ、精神的にも追い詰められていくというストーリー。「ゲーム」のはずなのにどんどん窮地に追いやられていく主人公。ラストの衝撃は実際に喰らったらとんでもなく人生観変わるでしょう。 |
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「チェンジリング」 |
1928年、ロスで実際にあった事件を基にした映画です。息子が誘拐されて5ヵ月後、警察が連れてきたのは別人の子供だった。腐敗した警察官僚によって事件解決を「捏造」されてしまう。自分の子供を見間違えるはずもなく、警察に訴え出ると精神病院に監禁されてしまう主人公。なんとしても子供を救い出そうとする母性愛と腐敗した警察権力を許さないという二重のストーリーがうまく絡まっている。アンジーの子供へのひたむきな愛情が伝わる作品。 |
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「親切なクムジャさん」 |
狂おしいほどに一途な復讐劇。美しい主人公が刑務所を出所するところから物語が始まる。心を真白に戻してやり直すためと、用意された豆腐を払い落し、自分を陥れた男に復讐するための計画を実行する。無実の罪を着せられて刑務所に入所したころから復讐のプロローグが始まる。緻密に、複雑な模様の布を織りあげていくかのように協力者を集めていくさまは地味に怖い。語られることはないが、復讐をしたところで時間が戻せないことを知りつつ、葛藤しながらも止められずにカタルシスへと向かう主人公の切なさも胸に痛い。 |