<宮古島からの手紙<3>

昔の宮古島、今の宮古島

神里 操 (宮古第一ホテル勤務)

 暑い日が続きますが、読者のみなさん、いかがお過ごしでしょうか?  さて、宮古島の一大イベントの「全日本トライアスロン宮古島大会」も無事終わり、観光シーズンが到来しました。この時期になると、観光客も増え、宮古島も賑やかになるわけですが、私たち「地元の人間」と、観光客の「お客様」の間に、少しのズレを感じます。まあ…、私たちの島を楽しみに来ていただく訳ですから、感謝の気持ち、温かな心を持って、おもてなしするのが当然のことなのですが、近年、それがズレてきているような気持ちが、私の中にあります。  つい最近、こんなことがありました。知り合いの飲食店でのことです。そのお店にいらしていたお客様の隣に座っていたのですが、その店の方との会話が耳に入ってきました。 「マスター、今年も遊びに来たよ」 「ようこそ、これで10年連続ですね」  「やっぱり、夏は宮古島だね。この島に来るのが楽しみだから! でも、私の中での宮古は、20年前の初めに来た前の方が好きだったよな?」  「そんなこと、ないですよ」とマスターが言いました。  私はその時、お客様のような発言をする人たちは、周りに増えたなと心の中で思いました。なぜでしょう?  たしかに町は発展して、昔のような風情は変わってきました。道は広く、大きな建物、大型ショッピングセンターなど、本当に、この20年ぐらいで、めざましく変わった気がします。  私はというと、この環境にも慣れ、これが普通なんだな?といった感覚でした。  でも、この島に来る観光客の人たちは、そう、私たちが昔ちょっと不便で、物も少なく、テレビチャンネルも2つ、台風が来ると食べ物に困る、それでいて、今よりもきれいな砂浜や海。地元の人なつっこい、酔っぱらいにやさしくて面白い市場のオバーたち……そんな風情を求めているかも知れない、そんな気がしました。  都会化していく島、その中で頑張っている地元の人たちと、発展しない、昔ながらの宮古島を期待している観光客……、そのギャップを最近、感じるのです。  それにちなんで、最近あった話を紹介します。  私が信号待ちをしていると、一人のオバーがいきなり、車の窓をたたいて、「あんた何処までいくか?」「市内までだよ。オバーは」「まっすぐ行ったところに、下地薬局があるから、そこまで乗せて行って」と。  私も断る理由もないので、(それより早く車に乗って?、道路の真ん中よ)、「あがい?ありがとう、助かるさ?」「いいんですよ?」「あんたは、どこの仕事をしているか?」「下地薬局をまっすぐ行って、ピンク色のホテルがあるでしょう、そこよ」「あは、上等ところだいが?」  なんて会話をしているうちに、目的地に着くと、オバーは車を降りる際、座っていたシートに100円を置いて、「タクシーより安く済んださあ?ありがとうね。これでジュース飲みなさい」と、捨てセリフを残して去っていきました。  こんなやり取りがまだ宮古にはあるんです。少々のズレは否めませんが、こんな宮古もまだ捨てたもんじゃないのかな?。