OPP経済インタビュー
新本店ビルの完成を目指し、中小、零細企業への支援を原点に、
地域密着の活動、率先垂範で立つー。
上地英由 沖縄海邦銀行代表取締役頭取
稲野辺典正本誌編集長 上地新頭取、ご就任おめでとうございます。
上地英由・沖縄海邦銀行頭取 ありがとうございます。
編集長 上地新頭取主役の大きなポスターが、本店や各支店に貼られ、上地新頭取の時代のスタートが行員やお客様にアピールされていますね。
上地頭取 ハハハ。
編集長 頭取は若い頃はスポーツをされていたのですか。背も高いですし。
上地頭取 中高生時代はバスケットボールを、大学生時代はハンドボールを、普通は4年になるとやめていくのですが、卒業真近まで活動(プレー)していました。
今年6月27日に新頭取に就任―。
編集長 ちょうど、今日(7月4日)の地元紙の朝刊に、上地頭取の紹介記事が掲載されていまして、読ませていただきました。
まず、私は沖縄海邦銀行に大変お世話になっておりまして、前の前の頭取の湖城英知さん、そして前の頭取の嘉手納成達さんとお世話になりました。嘉手納前頭取も長かったですね。
上地頭取 11カ年です。
編集長 また他行の頭取さんも変わりましたね。
上地頭取 沖縄銀行の玉城義昭頭取が一才先輩で、私が中間で、琉球銀行の金城棟啓頭取が一才、下なので、3人はちょうど一才ずつの違いです。
編集長 上地頭取は体も大きくて、顔もちょっとごっついし(ハハハ)
上地頭取 ハハハ。
編集長 そういうことで、私より上だと思っていましたが、昭和28年生まれで4歳も若く、まだ50歳代なんですね。びっくりしました。 やはり大人物の風格がありますね。
上地頭取 いえいえ、稲野辺さんもお変わりがないですね。
編集長 いえいえ、変わってきています。
苦難を経て、経済は強くなるー。
観光、医療、介護関係など、全業種へのアタック、訪問活動が勝利の道―。
編集長 いよいよ本論に入りたいと思います。嘉手納前頭取は、銀行が厳しい時代に頭取をされ、しかし、2009年3月期だけが赤字で、あとはずーっと黒字だったんですね。
上地頭取 一度だけですね。リーマンショックがありまして、有価証券関連損益で影響を受け、また県内でも大型倒産がありまして、その跳ね返りで、マイナスを計上しました。
編集長 あの時は、皆、どうなるんだろうか、危機感が広がって、暗い時代でしたね。
上地頭取 これは当行だけではなく、多くの金融機関に影響が及びました。
編集長 今はどうなんですか。良くなっているんですね。
上地頭取 リーマンショック後は安定して、利益を計上していますし、しかし、過去が厳しかったから、これから楽な経営ができるということは、一切、考えておりません。厳しさというのは、常に続いております。
編集長 ありますね、どういう時代にも。
上地頭取 特に、ご存知の通り、貸出は事業性を中心として、資金需要が少ないんです。建設業は以前と比較すると厳しい環境が続いています。
以前は公共工事を中心とした建設業者が、土木、建築が元気な時代は、資金の貸し借り、銀行に対しての融資の申し込みも旺盛にあったのですけれど、公共工事が減って、建設業者が淘汰されてきていますので、建設業への融資が他行も含めて落ち込んでいます。
編集長 では、こういう大きな融資が少なくなると、銀行はどうしたら良
いのですか。
上地頭取 観光産業とか、医療とか、介護関係、又リテール分野とか、そういう方面の方々への融資が増えてきます。
編集長 それとリテール部門というのはどういうことですか。
上地頭取 融資におけるリテール部門とは個人のお客様を対象とした融資取引のことをいいます。リテール部門としては、住宅ローンを重点的にこの2年ぐらい、取り組んでいます。住宅ローンを中心とした貸出は伸びてます。
編集長 住宅ローンはどうですか。安定しているというか、一定の需要があるとか……
上地頭取 あります。マンションや住宅建設の需要は県内は旺盛です。しかし、やはり住宅ローンというのは金利の面で低めで対応せざるを得ないので、バランスをよくする意味でも事業性の面で掘り起こさなければいけないと思っております。
編集長 そうですか。今、話された観光とか、医療とか
上地頭取 医療とか、介護… あらゆる分野の業種がありますので、そこへこれから訪問活動を強化していき、資金需要をほりおこしていきます。
編集長 それと「アタック&1万人」とありますが、これはどういうことですか。
上地頭取 「アタック、ご用聞き訪問」です。ちょうど3年前に、嘉手納前頭取の下、企画しました。「ご用聞き」という言葉自体は昔からある言葉ですし、金融機関は当然、お客さまへ2回、3回と訪問するというのが本来の、地域金融機関のあり方です。
編集長 これは大事なことですし、凄いことだと思います。
上地頭取 これを地道に継続していく。これは支店長の仕事だと思っていますし、またその下にしる営業副長の仕事だと思っています。
やはり、クーラーの効いた部屋の中で、ずーっと腰掛けに座っていたら、お客様はいらっしゃらないです。特に、われわれは、県内のトップバンクではありません。トップバンクであればそういうお客様も、われわれ以上にいらっしゃるかも知れません。われわれ3番手の金融機関としては、外に出て行って開拓する事が、これから重要な仕事ではないかと思ってます。
編集長 頑張っていらっしゃいますね。
上地頭取 有難うございます。
率先垂範、「量だけでなく質の強化」の営業活動
編集長 次に「量だけでなく質」といわれていますが、これはどういうことですか。
上地頭取 「質」というのは、銀行の財務でしたら、当然、ずーっと安定して利益を出していくことが銀行の基盤の強化になりますし、あとはお客様もいろいろなお客様に、優良大手さんだけでなく、中堅も含めて、すべてのお客様、中小、零細企業、相互銀行の立ち位置から我々がやっていた、そういうお客様にどんどん融資を広げていくことです。大口融資にかたよるのではなく、やはり細かく融資を広げていくことです。
営業一筋、上地新頭取の時代来るー。
編集長 湖城元頭取時代は湖城元頭取の時代の課題がありましたし、また嘉手納前頭取の時代は嘉手納前頭取の時代の課題があったと思います。また、上地新頭取の時代はまた、課題があると思いますが、それは「財政基盤の強化をしながら営業の強化」ということを訴えられていますね。
上地頭取 そうです。
編集長 また上地頭取自体、経歴を拝見しますと、そういう仕事を一貫して、されてきていますね。
上地頭取 はい。ちょうど内間支店をスタートに、内間支店で3年、宮古支店で3年、そして読谷支店で4年、首里支店で1年、営業部で3年と、十数年、営業店(支店長・部長)でやってきました。
編集長 そういうキャリアの下、次へのターゲットを定めて、本当にやる気に満ち満ちていますね。
上地頭取 率先垂範でやろうと思っています。
編集長 それと頭取の好きな言葉、キャッチフレーズはなんですか。
上地頭取 率先垂範です。自分から前に出て、皆をリードしていきます。
編集長 上地頭取は前にお会いした時より、若々しく、元気そうですね。
上地頭取 有難うございます。
編集長 今までは、私の記憶では、ちょっと控えめで、何かを考えている、ちょうどソクラテスのような感じでした。
上地頭取 いえいえ、そうではありませんよ。ハハハ。 組織はトップが変われば、会社の雰囲気も違い、すべてが変わってくるといわれていますし、私は私なりの意識するしないに関わらず、私のカラーが少しずつ出てくるのではないかと思っています。
編集長 沖縄海邦銀行さんは、海と太陽のシンボルマークで、とてもすてきだと思います。
上地頭取 ありがとうございます。
編集長 それと支店数は、出張所を入れて51店舗、ATMは県庁や各自治体の庁舎内や、ショッピンセンターや空港などにありますね。
上地頭取 自治体の中には指定金融機関として入れていただいているところもあります。
編集長 いつでもどこでも、沖縄海邦銀行さんは県民の見近なところにありますね。
上地頭取 そういう意味では、相互銀行時代からの地域の存在感は、グレードアップしていると思います。
編集長 普通銀行になって、もう24年ですか。
上地頭取 そうです。
編集長 本当にみんなで頑張って、成長発展していると思います。
上地頭取 本当に、これから安定して、盤石な経営基盤をつくっていきながら、行員が自信を持てるような、金融機関にしていきたいと思っています。
編集長 あとは、行員の人数はいかがですか。
上地頭取 パート等を入れますと約800人を超えます。関連会社等を入れますと1,000名ぐらいです。そして、その1,000名に家族がいますから、その家族の生活を支えているという責任に重大さを感じています。
編集長 あとは総資産が6,152億円、貸出量はいくらですか。
上地頭取 今は、64%の預貸率で3,650億円ぐらいです。
それと、当行は経営方針にもあるように、地域密着に徹して、地域のお客様に応えるという
10階建ての本店新築ビルが2014年に完成―。
編集長 それと本店の新築ビルの建設がありますね。
上地頭取 本店の新築ビルのスケジュールが予定通り進んでいます。完成は平成26年、(2014年)の暮れぐらいで、移るのは平成27年の年明けの見込みです。
編集長 現在ある、こちらの本店の場所ですね。
上地頭取 そうです。現本店は築53年になります。別館も24年です。それを取り壊して新本店ビルを建築するのです。
編集長 その間は、本店はどちらに移られるのですか。
上地頭取 本社機能は総合事務局の跡地に建物を借りて、3年弱そこで営業します。10階建てで、建築総面積は今の1.5倍ぐらいになります。
編集長 楽しみですね。
上地頭取 はい。行員も楽しみにしておりますし、取引させていただいております、お客様にも喜んでいただけると思っております。
編集長 今日はお忙しいところ、時間を取っていただき、元気な上地頭取にお会いし元気が出てきました。
上地頭取 率先垂範して、頑張りますので、こちらこそ宜しくお願い致します。
編集長 今日は有難うございました。上地頭取のご健康とご活躍を祈っております。
(このインタビューは2012年7月4日に行いました)