●音楽のジャンル
他のページにて音楽の起源〜歴史、また音楽の理論まで触れてきました。現代音楽の時代以降、人々は様々な音楽を自由に、形式にとらわれず創り上げてきました。そして自由な分、音楽は様々な「ジャンル」に分かれるようになりました。ただこの「ジャンル」は細かく分ければ何百ものカテゴリーになってしまいます。またある曲は複数のジャンルが混ざっている、なんてことも多々あります。 ここでは普段一般的に知られているジャンルをほんの少しだけピックアップしました。
クラシック音楽
古典音楽を意味します。一般には西洋の芸術音楽のことで「音楽史」のページで触れている音楽全般を
指します。代表的な作曲家についてはそちらをご参照ください。 →音楽の歴史のページへ
クラシック音楽は一般的に演奏形式によって分類されたり曲名がつけられたりしています。
・器楽(ソナタ・組曲など) ・管弦楽(協奏曲・交響曲など) ・吹奏楽 ・室内楽(弦楽四重奏・木管五重奏など)
・声楽(合唱曲・カンタータなど) ・舞台音楽(オペラ・バレエなど) ・電子音楽(騒音音楽・コンクレートなど)。
クラシック音楽ファンはポピュラー音楽ファンに比べ、数も少ないのは事実ですがその背景には、何を聞いて
いいのかわからない、とかどれも同じように聴こえるなどの意見が多いように感じます。でもクラシック音楽こそ
音楽の原点であり、深い歴史がある音楽です。その当時の時代背景や時世、また作曲家の人生を思い浮かべ
ながら聴いてみると更に楽しめるものです。
ロック
ロックは1950年代にカントリーミュージックやリズムアンドブルースから強く影響を受けた「ロックンロール」を起源
としてイギリス・アメリカで幅広く展開した音楽です。通常ロックはエレクトリック楽器(エレキギターやエレキ
ベースなど)で構成されたグループで演奏されることが多いです。(※現代では色々とジャンルが混ざり、アコ
ースティック楽器があったり、コンピューターを取り入れてデジタル的なロックもありますが、ここではロックの
原点のことです。)
「ロック黄金時代」と呼ばれる1960年後半になると、ロックは他のジャンルの音楽の影響を受け、フォークロック、
ブルースロック、フュージョンなどサブジャンルを生み出していきました。そして更にサイケデリックカルチャーの
シーンに影響されたものが生まれました。ビジュアルを強調した「グラムロック」や大音量とスピードを強調した
「ヘヴィメタル」などがそうです。
さらに1970年代に「パンクロック」と呼ばれる政治的批判を歌詞にするものが流行り、1980年代になるとそこから発展
した「オルタナティブロック」や「ポストパンク」などが生まれました。
このジャンルの有名なミュージシャン:
ロックンロール : ビル・ヘイリー、エルビス・プレスリー、ジェリー・リー・ルイス、チャック・ベリー
フォークロック : ウィーヴァーズ、ボブ・ディラン、アニマルズ
ブルースロック : マイク・ブルームフィールド、エリック・クラプトン、オールマンブラザーズ
フュージョン : チック・コリア、ラリー・カールトン、パット・メセニー
グラムロック : T-レックス、デヴィット・ボーイ、ハノイ・ロックス、ベイ・シティ・ローラーズ
ヘヴィメタル : モトリークルー、オジー・オズボーン、キッス、スキッド・ロウ、スコーピオンズ
パンクロック : イギー・ポップ、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、オフスプリング
R&B
「リズム&ブルース」の略。「アール・アンド・ビー」とも呼びますが、最近では前者が1950年代からの古いもの、
後者がここ十数年のものを指す傾向があります。
黒人霊歌であるゴスペルやジャズ、ブルースがルーツの音楽。アメリカ社会で人種差別を受けていたアフリカ
ン・アメリカンの人たちが創り上げた音楽のジャンルで、歌い方やリズムに特徴があります。このR&Bから発展
していったものに、「ソウルミュージック」「ファンク」「ブラックコンテンポラリー」「ネオ・ソウル」があります。
その定義は広く、その人によって捉え方が違ったりしているので分類しにくいジャンルです。近頃では「R&B」と
いうとちょっとオシャレでセクシーな男女が歌っているような曲をイメージしますね。
ちなみに個人的にはモータウンが大好きです。モータウンは現在では曲のジャンルの一つとして呼ばれるほどですが、
本来は1959年にアメリカのデトロイドで生まれたレコード会社レーベル名です。特に1970年のディスコ時代から1990
年のボーイズUメンの時代までが全盛期と言ってよいのではないでしょうか。
このジャンルの有名なミュージシャン:
ソウル : アレサ・フランクリン、マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダー、サム・クック、レイ・チャールズ
ファンク : ジェームス・ブラウン、ファンカデリック、スライ・ストーン、ブーツィー・コリンズ
ブラック・コンテンポラリー : クィンシー・ジョーンズ、アース・ウィンド・アンド・ファイヤー、フレディ・ジャクソン
ネオソウル : エリカ・バドゥ、マックスウェル、エリック・ベネイ、ディアンジェロ
ラテン音楽
ラテン音楽は中南米発祥の音楽。キューバ系・ブラジル系などそれぞれに特徴があり、また移民の多いニューヨ
ークでもサルサなどのラテン音楽が有名だったりします。場所的にも音楽的にもとても幅広いジャンルです。
主なスタイルとして、
ルンバ・マンボ・サルサ・チャチャチャなどのキューバなどのカリブ系
クンビア・ホローポ・ガイダなどのコロンビア・ベネズエラ系
サンバ・ボサノヴァ・ショーロなどのブラジル音楽
タンゴ・ミロンガ・サンバなどのアルゼンチン音楽
マリアッチやボレロ・バンダなどのメキシコ音楽
フォルクローレ・ランバダなどのペルー・ボリビア音楽
が挙げられます。
詳しくはこちらを参照 : 世界の民謡・動揺worldfolksong.com
このジャンルの有名なミュージシャン:
キューバ音楽 : セリア・クルーズ、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ、ローランド・アルフォンソ、イブライム・フェレール
ブラジル音楽 : セルジオ・メンデス、アントニオ・カルロス・ジョビン、マルコス・ヴァーリ、ジョアン・ジルベルト
アルゼンチン音楽 : アストラ・ピアソラ、レオポルド・フェデリコ、フランシスコ・ロムート、フアン・カルロス・ゴドイ
メキシコ音楽 : ロス・パンチョス、アルマンド・マンサローネ、エル・チャポ・デ・シナロア、カフェ・タクーバ
ペルー・ボリビア音楽 : ロス・カルカス、ハチャ・マリュク、ラウル・ガルシア・サラテ、ケルマントゥ
ジャズ
19世紀から20世紀初頭にかけてアメリカ南部の都市を中心に生まれました。楽器と理論は西洋音楽、リズム
はアフリカ系アメリカンの特徴を用いて融合されたものです。
時代は1930年代、発祥の地はニューオリンズとされています。
一般的にジャズバンドの構成(金管楽器・木管楽器・ドラム)というのはマーチングバンドとダンス音楽の影響
を受けたものといわれています。音楽自体は始めは独学で創りあげているものでしたが、次第にアフリカ系
アメリカンの人々にによって西洋の古典音楽の理論を取り入れるようになりました。1940年代以降になるとスィングジャ
ズやビバップといったはずむリズムが特徴的なものが生まれました。さらに1950年代になると、
かの有名なマイルスデイビスによって「モードジャズ」という手法が取り入れられ、即興的なジャズが多くなりました。この即興は
センスをとわれるもので多くのアマチュアの演奏家たちが悩む分野でありますね。そして1960年代にはブラジルの
ボサノヴァの人気があがり、ビルボード誌のトップを飾ったりグラミー賞を取るなどしました。
1990年代から現在までは、「ジャズミュージシャン」というくくりはまだ健在するものの、ポップスを歌うシンガー
がジャズを歌ってみたり、ちょっと曲にペンタトニックコード(ジャズで多く引用されるコード進行)が使われていると「ジャズだ!」と言われたり、ちょっ
と境目がなくなってきましたが、これは様々な曲を聴いてきた現代の人々のセンスと、楽器や機材の進化に
よってひとくくりにできなくなってきているのだと考えられます。
このジャンルの有名なミュージシャン:
スィングジャズ : ベニー・グッドマン、カウント・ベイシー、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン
ビバップ : ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス
モードジャズ : マイルス・デイビス、ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーン、ハービー・ハンコック
テクノ
アメリカのミシガン州デトロイトを発祥の地とする、エレクトロニック・ダンス・ミュージック。しかし、電子音楽の
始まりは1950年代に「カールハインツ・シュトックハウゼン」が電子楽器だけで楽曲を作ったところからだとも言われています。
それに影響を受け、若い世代によって現在のテクノの祖先とも言われる「クラウトロック」が生まれました。これは、
サイケデリックロックとエレクトロニック音楽が融合したものでした。演奏自体は凝っていませんが、同じフレーズを反復させたり、即興でフレーズを
挟んだりと特徴的なものでした。今日でも有名なミュージシャンのKRAFTWERK(クラフトワーク)は1970年代に
このクラウトロックで世界的に活躍しました。
テクノとハウスミュージックの区別がつかないという人も多いはずです。それはテクノはもともとシカゴのハウス
ミュージックから区別されたものであったからで、その区別がされたのはレコード会社のマーケティング戦略に
よるものだったからです。現在ではテクノはハウスのビートが強くなってフレーズに反復性があってなどクラブで
のレイヴをイメージされて作られるものがテクノと呼ばれているようです。
このジャンルの有名なミュージシャン:
デリック・メイ、アンダーワールド、ケミカルブラザーズ、カール・クレイグ、ケヴィン・サンダーソン